あいつは最低だ。
でもそんなあいつから離れられない私は、もっと最低。
あいつこと島崎慎吾には彼女がいる。もちろん私ではない。
私は俗に言う”浮気相手”だ。
だからこそ、私の慎吾に対する想いが本気だなんて・・・絶対言えない。
「また今日も彼女騙して来たの?罪な男。」
「若いうちは遊んでた方が良いって言うだろ?それに、お前とヤる方が燃えるし。」
彼女を騙して行われる、私と慎吾の密会。
二人の間には理性なんて無くて、ただの獣そのもの。
愛なんか無いって分かっていても、激しく求められるたびに期待してしまう自分がいる。
・・・私は所詮、浮気相手でしかないというのに。
彼女といる時の慎吾を見ると、胸が苦しくなる。
ああ、私のものじゃないんだ。って実感してしまうから。
でも、そんな気持ちは封印して、今日も都合のいい浮気相手を演じ続ける。
私はあなただけの特別?
一番がいいなんてそんな贅沢は言わないから。
二番でもいいの。あなたの特別になれるなら何だって。・・・なんてね。
じれったいようなロマンス。
それはあなたと私の身勝手で生まれたもの。
ときめきさえ存在しないロマンス。
・・・これも、愛の形?