野球をやっている幼馴染がいれば、誰しもこのセリフを言ってみたくなるはずだ。
唐突にそんな事を思いついたあたしは
今現在おじゃましている準太の部屋で”そのセリフ”を言ってみる事にした。
「ねぇ準太。」
「何?」
「あたしを、甲子園に連れてって。」
「・・・はぁ?」
素っ頓狂な声をあげたこの人は、高瀬準太。
あたしの幼馴染で、桐青高校野球部のエース。
・・・ならば、このセリフを言わねばなるまい。
「もー準太はノリ悪いなー。ほら、知らないの?あの超有名な野球漫画。」
「知らない訳じゃないけど・・・お前のノリについていけなかっただけだ。」
むっとしたのか、準太は不機嫌そうな声で言った。
だって準太ピッチャーなんだもん。突然言いたくなったんだもん。
この乙女心を分かれよ。鈍感野球小僧め。
心の中で散々毒づきながらあたしが黙っていたら、なんだかしんとしてしまった部屋。
そんな沈黙を、先に破ったのは準太。
「俺が、を甲子園に連れていってやるよ。」
――――― 部屋に、初夏の訪れを告げる風が吹き抜けた。
はじまりはパロディ。
でも、それには色々なドラマが存在していて。
あなたとあたし。
2人で作る、”ドラマチック・パロディ”。