恋とは自ら掴み取るものである。
これが、私の持論。
その持論を主張するのは、右手に輝くピンキーリング。
ピンキーリングには、右手につけると恋が掴め、左手につけると恋を逃さないというジンクスがあるらしい。
それを知ってから、私の右手小指には指輪が輝いている。
「あ。それ、ピンキーリング?」
そう聞いてきたのは、隣の席の泉君。
・・・ひそかに、私の想い人だったりする。
「うん。よく知ってるね!」
「まぁな。で、確か何か意味あったよな?」
ドキリとした。
この指輪をつけている意味が知られてしまうって、結構恥ずかしい事なんじゃないだろうか。
とりあえず「へぇーそうなんだ。」と言っておいた。
これで多分大丈夫。怪しくない怪しくない、と自分に言い聞かせる。
すると、泉君は何か考えてから、「って付き合ってる奴とかいないよな?」と聞いた。
え?ええ?
突然問われた泉君の発言の意味が上手く理解出来ない。
「そ、そんなのいないよ!」と力いっぱい否定する。
思いっきり挙動不審だ。怪しすぎる、私。
「ふーん・・・じゃあ、俺がいるからこれは左手につけとけ。」
そう言って泉君は、私の指輪を左手小指にはめた。
それって、どういう・・・?
「俺、のことが好きだよ。だから、お前は俺を逃がさないようにしとけ。
・・・まぁ、頼まれたって逃げねーけど。」
夢?夢じゃない?
でも、それが夢でない事は、左手の指輪が証明してくれていた。
「私も、泉君の事が好き。」
そう言うと、意地悪く笑って、「知ってる」と返してくれた。
本当に恋を掴ませてくれたピンキーリングに感謝しつつ、
左手に輝くそれを、とても愛しく思った。
はじまりは、小指から。
(「私の気持ち、バレてた?」)(「お前の考えてる事なんて、全部お見通し。」)