【愛惜】

お前のことが好きだよ。この世の誰よりもずっと、ずっと。

もし俺と手を繋いでくれるならば、二度と離したりはしないから。


は俺がこんな事を考えているなんて、全く気付いていないだろうな。


なんて心の中で独り言を呟いたら、自然と頬が緩んだ。

俺は今、ものすごく幸せなのかもしれない。



ただただを、愛しく想う。


(榛名何ニヤニヤしてんのー?)(別に。何でもねーよ!)


愛惜・・・大切にし、手放したくないと思う事







【愛故】

「おーい。お前俺といるのにボーっとしてるってどういうコトだよ。」

「え?あ、ゴメン!ちょっと考え事してたから・・・。」


初めて来た元希の部屋。

なんとなく落ち着かなくて、ここで生活してるんだ、とか

散らかってはいるけど嫌な汚さじゃないな、とか考えていたなんて言えるわけがない。


ふーん、と言った後、少しの間元希は黙り込んだ。


次に発せられた貴方の言葉で、私は思わず笑ってしまうとともに

もっと貴方が愛しくなった。


「お前は、俺の事だけ考えてりゃいーんだよ。」


(それは全て、愛故に。)







【愛染】

ある帰り道のこと。

体育の授業中に頭を打った私は、ダメモトで元希にあるお願いをしてみた。


「ねぇ元希。いたいいたいのとんでいけーってして?」

「はぁ!?・・・俺がしたら、頭痛くなくなんのか?」

「うん。」


この後、「んな恥ずかしいコト出来っかよ!帰るぞ!」

とか言われると思っていた私の予想は、大きく裏切られることとなる。


「いたいいたいのとんでいけー。・・・こんなんでいいのか?」


私の頭をくしゃくしゃと撫でながら、元希は聞いた。



夕焼け色に染まった頬を見て、私はまた彼の愛に染められたんだ。


(あはは!元希顔真っ赤ー!)(うっせー!誰のせいだと思ってんだよ!)