甲子園、それは野球をするものにとっての憧れ。
行ければいい、行きたい、行けない。
そんな私のジレンマを打ち砕いた男、榛名元希。
初めて榛名の投げた球を見たとき、鳥肌が立った。
綺麗に掛かるバックスピン。
ミットに吸い込まれるような投球。
なんて言うか、今まで見てきた野球とは次元が違った。
これが格の違いというものなのか。
榛名が野球部に入ってからは、みんなの目が変わった。
サボったりする人はいなくなって、本気で甲子園を目指すようになった。
榛名は、みんなを魅了してやまない。
そして、私も魅了されたうちの一人。
・・・心ごと奪われて、目が離せない。
「ねぇ、今年はどこまで勝ち上がれるかな?」
「俺が投げてれば、どこまでも。」
そんな言葉も嘘に感じられない程。
どうか、どうか栄冠が君に輝きますように。
今、夏が始まる―――・・・